大阪医歯学院 公式ブログ

大阪医歯学院の公式ブログです。受験生に役立つ情報等を配信していきます。

中川先生のお話 第10回 「コロナとインフルエンザ」

 コロナウイルスとインフルエンザウイルス、どちらも厄介なウイルスである。

 生物を選択している学生は知っていて当然だが、生物の細胞核には遺伝子がDNAという形でしまいこまれている。いわば人間の設計図、この設計図本体は重要なので、DNAから必要なところだけコピーした遺伝子をメッセンジャーRNAという(以下m-RNA)。このコピーは細胞質にある小胞体という場所まで移動し、そこでm-RNAの情報に沿って、アミノ酸をくっつけてタンパク質が合成される。書いてみるとシンプルだが、体を作っているすべてのタンパク質が細胞核奥深くに大切にしまいこまれたDNA情報によって作られていく。これは永遠不滅の原理なので、セントラルドグマと呼ばれた。

 しかし、この精妙な仕掛けを逆にとって、自分の遺伝子であるDNAを捨て去り、m-RNAしか持たない形となったウイルスも存在する。新型コロナやインフルエンザウイルスがそうで、もはや生物の基本部分さえ捨て去り、細胞に取り付き、本来人間のタンパク質が合成される小胞体でウイルスのm-RNAがウイルス本体、つまりウイルスの身体を作る。要するに工場の乗っ取りである。ウイルスはこれ以上シンプルになりようがないくらい生物としての要素をそぎ落とし、自分で動くことさえない。遺伝子も普通生物はDNAだが、ある種のウイルス―インフルエンザやコロナウイルス―はDNAさえ持たない。人間が情報のコピーとして使っているm-RNAの形の遺伝情報を持ち、細胞に感染するなり細胞をハイジャックしてしまう。人間の側も免疫機構を駆使してウイルスを排除しようとするが、敵は驚くほどの速度で進化し、免疫の網を抜けてくる。だから、ウイルスの裏をかいてワクチンを作ろうと世界中の研究者が頑張っているのだが、インフルエンザのほうは完成しているが、コロナはいまだ完成していない。

 とりあえず、この冬が問題なのは、インフルエンザウイルス感染のピークが毎年冬に来ることと、新型コロナが勢いを増す可能性があるという2つのことが不安をあおっている。一般に冬は風邪ウイルスが勢いを増しやすい季節。受験生にとって風邪は大敵、一日の発熱で一年の努力が水の泡になってしまう可能性もある。

 この時期はいつもにもまして風邪対策を心がけることが大事。まずは身体を冷やさぬこと。次に栄養バランスに気を付ける。特に免疫力を上げる納豆・ヨーグルトなどの発酵食品、抗酸化作用の強いビタミンA・C・Eを多く含む果物や野菜、レバーなどもよい。風邪の弾き始めは身体を温めて早く寝ることも効果的でしょう。

理事長の話 第11回「いよいよ迫る推薦入試への備え」

 コロナ禍がまだ収まらぬ中であれ、合格への大きなチャンスである推薦入試は当然行われます。今までの流れの中で、医科系などは明らかに学力偏重になってきています。今年度もそれに変わりはないといいたいですが、コロナの影響でまともに学校の授業が行われていない現状から、高校での成績や活動が補足的に使われることが十分考えられます。そこで、推薦入試受験の留意点を列挙します。

(1)志望動機欄は、余裕をもって書き、必ず先生方に見てもらいましょう。
   また、完成したものは、コピーして手元に置いておきましょう。
(2)指定教科の基本重要問題を確実に説く練習を毎日行いましょう。
   難問ではなく標準問題を必ず選ぶようにし、計算のスピード感や記述のミスを
   なくしていくことを普段から意識しておきましょう。
(3)面接の練習は必ず先生方にしてもらいましょう。
(4)小論文が課されている場合は、何題か書いてみて、先生方に見てもらいましょう。

 推薦入試といえども、最近では競争が激しくなっています。今後の自分へとつながるような学習を意識して行っていってください。また、学院では面接や小論文のレクチャーなども請け負っています。気軽にご相談ください。

理事長の話 第10回「あなたの脳髄を今こそ鍛えよう」

 まだまだ続くコロナ禍の中で、本当によく頑張りましたね。あっという間に夏が過ぎたにもかかわらず、テストでさっぱり点が取れないと嘆いている人が多いでしょう。無念ですが、それが現実なのです。ほとんどの人がそうですから、これからの学習方法が生きてくるのです。標準的な問題に慣れてきたら、次に来るのが応用問題です。応用問題は入試問題を意識しているから、次の3つに気を付けることです。

1.問題文への工夫がどんどん増えていきます。「国語力」(以前述べた問題の意図を正確に理解する力)が問われるわけです。
2.常に計算間違いをしないような「確実性」を問われます。弱い人は今から1問1問時間内に間違いなく計算できる練習をしましょう。
3.英語のみならず、会話調や、論文調で人のやり取りや、データから類推させる問題が増えます。それはあなたの「脳髄(思考力)」を試す方向にあるのです。

 20世紀は「核」の時代でした。大きくは原爆や原発などのニュークリア。微細にはiPS細胞にみられる、DNAのヌクレオチド、両者ともどんどん深化し、とどまることがありません。それに次いで、21世紀は「知能」の時代です。これもすでに始まっていますが、IT・ICTで学習にも利用されています。その極致がAI(アーティフィシャルインテリジェンス)。そうです、人工知能です。人間の知能と競争させようとする企業が、医療分野も含めて数えきれないほどあります。怠惰な脳は簡単に飲み込まれます。やはり、人間の学問の世界は、「人間的知能」、脳髄、そして心の在処である前頭葉を多用して、思考力、想像力、創造力が求められるのです。話は少し大きくなりましたが、大学入試問題の出題には、そういう願いも込められているのです。人間の尊厳をかけて、取り組んでください。

医学部入試コラム 英語第3回「医学部の長文読解の解法(背景知識)」

 今回は、医学部の長文読解の解法として、背景知識を取り上げたいと思います。

 よく生徒さんから相談を受けるのが、医系のテーマの背景知識を理解しておいたほうが良いかということです。大学にもよりますが、知っているほうが内容への理解がより深まるので、頻出テーマは一通り触れるべきだと思っております。
 例えば糖尿病は北里大学東邦大学などで出題されている頻出テーマです。糖尿病には1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)と、2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)があり、1型糖尿病は若年性糖尿病と呼ばれるもので、主に子供に起こり、インスリンを注射して補給します。一方、2型糖尿病は成人型糖尿病と呼ばれており、主に40歳以上の人に起こり、運動療法や食事療法が基本となります。
 過去の北里大学の下線部の意味を問う問題で、

Type 1 diabetes, previously known as insulin dependent or juvenile-onset diabetes is characterized by loss of the insulin-secreting beta cells.

1) patients usually acquire type 1 diabetes in the late adulthood
2) type 1 diabetes usually starts at a young age
3) patients with type 1 diabetes are born with the disease
4) type 1 diabetes is a lifelong disease

とありましたが、juvenileの意味が分からなくても、2)だということがわかります。

 以上のように、ほかの学部と違い医学部は医系の背景知識があると無いとでは読解の内容把握が大きく変わってくると思うので、日頃から医系の英文に数多く触れ、岩何が話題になっているのか、またどんな単語が使われているのか是非研究してください。

 

 

獣医学部入試コラム 英語第3回 「獣医学部における長文読解の設問別解答(空欄補充)」

 今回は、獣医学部における長文読解の設問別解法として空欄補充を取り上げたいと思います。
 皆さんは空欄補充問題を回答する際、何となく意味から考えていないでしょうか?
空欄補充の手順はまず、

1) 空欄の品詞を予測する
2) イディオム・コロケーションが関係していないか確認
3) 文法・語法が関係していないか確認(特に準動詞、関係詞、接続詞、前置詞などが頻出
4) 文と文とのつながりを考える(具体化、対比、因果関係、並列・追加、言い換え)

 を考えます。この順番は、見た瞬間処理できるものから並べているので、解答の精度、時間短縮にも効果があります。

 2019年の北里大学では、

(               ) their cute appearance, koalas can be ferocious when resisting capture.

1)  Aside  2)  Despite  3)  Even  4)  Instead  5)  Nevertheless

 といった長文中の空欄補充がありましたが、先ほどの手順で解くと空欄に入るのは直後に名詞が来て、その後にSVが続いているので前置詞が入ることがわかります。選択肢を見ると 2) 以外はすべて副詞になるので、見た瞬間 2) が正解だとわかるのです。このような手順に従って解答し、効率よく得点し、合格を目指して頑張ってください。

医学部・獣医学部入試コラム 数学第5回 「検査における正しさの確率」

 現在、新型コロナウイルスが人々の健康と生活に大きな影響を与えています。その中で、PCR検査を素早く、多くの人に実施することを求める声が広がりました。このような検査はどれほど信頼できるのでしょうか?
 2020年度の埼玉医科大学の後期で次のような問題が出されました。

 

 ある集団で5人に1人がかかる病気がある。この集団に属するAさんがその病気に関する検査を受けたところ、陽性の結果が出た。その病気にかかっている人がこの検査で正しく陽性と判定される確率は90%で、かかっていない人が誤って陽性と判定される確率は5%である。Aさんがこの病気にかかっていない確率を求めよ。

 

 これは、条件つき確率(ベイズの定理)の応用問題です。「その病気にかかっている人がこの検査で正しく陽性と判定される確率は90%」というところから、多くの人が答えは10%ではと思ったのではないでしょうか。正しい回答は以下の通りとなります。

 

 集団の中から病気にかかっている人を選ぶという事象をX、検査で陽性と判定される事象をYとします。このとき、P(X\cap Y)=\frac{1}{5}\cdot\frac{90}{100}P(\overline{X}\cap Y)=\frac{4}{5}\cdot\frac{5}{100}となるので、
求める確率は、
P_{Y}(\overline{X})=\frac{P(\overline{X}\cap Y)}{P(Y)}=\frac{4\cdot 5}{1\cdot 90+4\cdot 5}=\frac{2}{11}

 

 百分率で表すと約18%となります。これは検査の精度が高くても、病気にかかっている人の割合が低い場合、陽性の結果で実際は病気にかかっていないという確率が高くなるということです。
 このような問題は医療系の学部では頻出されます。直観だとだまされやすいので、考え方をしっかり押さえておきましょう。

中川先生のお話 第9回「アフターコロナ第3章 コミュニケーション」

 これまで、コミュニケーションはほとんどの仕事で極めて大切なことでした。我々の学会、日本保健医療行動科学会でも患者さんの行動変容が治療において一番の方法だと考えて、様々な技法を提唱してきましたが、ほとんどの技法はコミュニケーションによって伝えられます。心理療法の効果にしても、心理学者ランバートは雑多なRCTをかなり多く集めてメタ解析した結果、心理療法は技法の効果は15%に過ぎず、患者とのコミュニケーションの良し悪しが効果を決めているという結果を出しています。論文が出た当初はかなり物議を醸したのですが、今ではどんな心理療法も良好な人間関係を抜きにしては効果が薄いというのは常識です。

 さて、この良好な人間関係の形成には何をおいてもコミュニケーションが重要なのですが、アフターコロナの時代、三密を避けるなど対人接触が厳しく制限され、これまでの対人援助のコミュニケーション技法が役に立ちづらくなっています。Webでの会話だと慣れていないせいか、どうもぎこちないものになりやすく会話が途切れ途切れになりやすいようです。現実の対面会話にしてもマスクを深くかけられていると、お互い表情が読みづらく、いつもと勝手が違うようです。

 アフターコロナの時代、おそらくWeb会話やマスク越し会話は、これから続くというより、こちらが主体になってくるものと思われます。とすれば、昔を懐かしんでばかりいても仕方ありません。積極的にアフターコロナのコミュニケーション技術を考える必要があります。まず第一にオーバーアクションのほうが伝わりやすいものです。手振りや表情を大きく動かすことで伝わりやすくなります。マスクだと表情が読みにくいので、余計に大げさなくらい表情を動かすことが大事です。日本人は控えめな人が多いので苦手なことかもしれません。分厚いマスクの下でボソボソしゃべるのは、ほぼ伝わらないと考えねばなりません。僕は講演の時など、よく身振り手振りが多いのですが、最近ではWeb講演の時もなるべく身振り手振りをうまく使うことを心がけています。後は声ですが、ゆっくり大きめの声でしゃべることが大事です。マスクの下で小声で早口だと、かなり理解が難しくなります。

 以上、とりあえず思いつくことから羅列しましたが、アフターコロナのコミュニケーションに役に立てばうれしい限りです。

                         顧問医師  中川 晶